先に結論から
- 東京都の事業承継・引継ぎ支援センターは、M&A の成約までに一般に半年〜1年かかり、それ以上かかる場合や成約しない場合もあると案内している。その間も、店は続ける
- 社名を明かすのは、譲る側が相手ごとに同意し、相手と秘密保持契約を結んでから。仲介会社・FA にはそうすることが求められている
- 最終契約では、表明保証や経営者保証の扱いがあとで争いになりやすい。仲介会社・FA には、そのリスクを具体的に説明することが求められている
店や会社をほかの人に譲るとき、どんな順番で進むのか。M&A 支援機関登録制度の参考資料(中小 M&A ガイドライン第3版の遵守事項を説明したもの)の区切りに沿って、8つの段階にまとめました。
東京都の事業承継・引継ぎ支援センターは、成約までに一般に半年〜1年かかり、それ以上かかる場合や、成約しない場合もあると案内しています。その間も、これまでどおり店を続けることになります。
1. 決める
譲るかどうか、誰に相談するかを決めます。最初の相談先は、各都道府県の事業承継・引継ぎ支援センターです。
参考資料では、仲介会社・FA は、契約の前の相談の段階から、相談者の会社の情報を注意して扱うとされています。
2. 仲介会社・FA と契約する
仲介か FA か、手数料はいくらか、何をしてくれるかを、契約の前に書面で説明してもらいます。くわしくは仲介と FA の違いと手数料の決まり方にまとめています。
- 説明を受けたあと、考える時間を十分にもらえる
- 説明は、契約を結ぶ権限のある人(会社なら代表者など)に対して行う
3. 会社・事業を評価する(バリュエーション)
いくらで譲れそうかを評価します。参考資料では、評価の手法や前提を前もって説明し、手法と価格の幅に納得をもらうとされています。
仲介者の場合は、確定的な評価はせず、必要なら士業などの専門家の意見を求めるよう伝える、とされています。
4. 相手を探す(マッチング)
まず、社名を伏せた資料(ノンネーム・シート)で、関心のある相手を探します。
- 社名を明かす(ネームクリア)のは、譲る側が相手ごとに同意し、相手と秘密保持契約を結んでから
- 秘密保持契約の前に、くわしい情報が外に漏れないよう注意する
譲る側には、仲介会社・FA が相手(譲り受ける側)をどう調べるかの概要が、契約の前に説明されます(財務の状況、反社会的勢力にあたらないか、過去に M&A でトラブルを起こしていないか など)。
5. 交渉する
条件を話し合います。参考資料では、慣れない依頼者にも全体の流れを分かりやすく説明し、寄り添って交渉を支えるとされています。
6. 相手に調べてもらう(デュー・ディリジェンス)
譲り受ける側が、店や会社の中身を調べます(DD)。譲る側は、求められた資料をそろえます。参考資料では、仲介会社・FA がその準備を促し、支えるとされています。
7. 最終契約を結ぶ
あとで争いになりやすい点を、契約の前に確かめます。参考資料では、とくに次の点が挙げられています。
- 経営者保証:会社の借入れに親が個人で保証人になっているとき、その保証を外すのか、譲り受ける側に移すのか。士業(とくに弁護士)やセンター、金融機関に、成立の前に相談することもできる
- 表明保証:譲る側が「この内容に間違いはない」と約束する条項。期間や責任の上限がないと、譲る側が大きな責任を負うおそれがある
- 契約の内容に漏れがないか、もう一度確かめる
8. 引き渡す(クロージング)
段取りを整え、当日は、譲り受ける側から譲渡の代金が確かに入ったことを確かめます。
よく聞かれること
- 譲ると決めてから、どのくらいかかりますか?
- 東京都の事業承継・引継ぎ支援センターは、成約までに一般に半年〜1年と案内しています。それ以上かかる場合や、成約しない場合もあります。
- 相手が決まる前に、店の名前が知られてしまいませんか?
- 仲介会社・FA には、社名を明かす前に、相手ごとに譲る側の同意をとり、相手と秘密保持契約を結ぶことが求められています。契約の前に、情報の扱いを確かめてください。
出典
確認日:2026-11-02