先に結論から
- 中小企業基盤整備機構は「事業承継の第一歩は後継者との対話」としている。後継者候補はいるが本人の了承を得ていない会社では、引き継ぐ意思を伝えられていないケースが半数を超えるという調査がある
- 後継者に移るまでに3年以上かかったと答えた会社が5割を超えるという調査もある。話し始めるのは早いほうがよい
- 話す順番は「いつまで続けるか」→「誰に渡したいか」→「渡せないときどうするか」。一度で決めなくてよい
店のこれからは、親からも子からも切り出しにくい話です。でも、話さないまま時間がたつと、選べる道が減っていきます。
話していない家は、少なくない
中小企業基盤整備機構の事業承継・引継ぎポータルは、調査をもとに次のように紹介しています。
- 経営者が60歳代の会社のうち、後継者が決まっていない、または後継者の了承を得ていない会社が約半数
- 後継者候補はいるが本人の了承を得ていない会社では、候補に引き継ぐ意思を伝えられていないケースが半数を超える
- 後継者に移るまでの期間について、「3〜5年程度」「6〜9年程度」「10年以上」と答えた会社が合わせて5割を超える
そのうえでポータルは、「事業承継の第一歩は後継者との対話。将来について語り合ってみましょう」と呼びかけています。
話す順番
一度で決めなくてかまいません。このサイトでは、次の順番を勧めます。
- いつまで続けるつもりか:答えが「体が動くうちは」でも、それが分かれば次に進めます
- 誰に渡したいか:家族か、従業員か、ほかの会社や人か。渡したくない、という答えもありえます
- 渡せないとき、どうするか:ほかの人に譲るか、たたむか。どちらにも準備の時間がかかります
- 誰に相談するか:顧問の税理士、取引のある金融機関、事業承継・引継ぎ支援センターなど
一緒に話しておきたいこと
- 店や会社の借入れと、親の個人保証:譲るときに、保証をどうするかが問題になります(譲るまでの流れの「最終契約」)
- 店の建物・土地はだれのものか:親の名義なら、店と一緒に決めることになります(店と家が同じ建物のとき)
- 従業員と取引先に、いつ・誰が伝えるか:ほかの人に譲るなら、決まる前に知られないことも大事です
子どもの側から切り出すとき
「継ぐ・継がない」から始めると、話が止まりやすくなります。「いつまで続けるつもり?」と、親の予定から聞くほうが答えやすい、というのがこのサイトの考えです。
継がないと決めている場合も、それを伝えることが、親が次の道(ほかの人に譲るなど)を考え始めるきっかけになります。
経営者の側から切り出すとき
中小企業基盤整備機構のポータルは、後継者が決まっている会社の課題として「後継者の経営能力」が最も多く挙がり、経営の力を発揮するには時間がかかるため、早くからの準備や段階的な引き継ぎが大事だとしています。
継いでほしい気持ちがあるなら、早めに伝えるほうが、子どもも準備の時間をとれます。
一人で抱えないために
家族だけで話がまとまらないときは、事業承継・引継ぎ支援センターに相談できます。中小企業基盤整備機構によると、センターは、税理士や中小企業診断士などの専門家と連携して、「事業承継計画」づくりを無料で支援しています。東京都のセンターは、親族からの相談も受けると案内しています(代表か株主の人の同席を頼まれます)。
よく聞かれること
- 親が話をしたがりません。どうすればいいですか?
- 一度で決めようとせず、「いつまで続けるつもりか」だけを聞くところから始めるのがよいと考えます。家族だけで進まないときは、事業承継・引継ぎ支援センターに一緒に相談する方法もあります。
- 何歳くらいから話し始めればいいですか?
- 決まった年齢はありません。後継者に移るまでに3年以上かかったと答えた会社が5割を超えるという調査もあるので、早いほど選べる道が多くなります。
出典
確認日:2026-11-02