先に結論から
- 事業承継時の特則は令和2年4月から運用され、金融機関は原則として前経営者と後継者の双方から保証をとること(二重徴求)をしないよう求められている
- 後継者に保証を求めない対応は、①会社と経営者の資金を区分する ②財務基盤を強める ③財務状況を正確に伝える、の3つを満たしているかが目安になる
- 相談は各都道府県の事業承継ネットワーク事務局にいる経営者保証コーディネーター
親の店や会社を継ぐとき、子どもが気になることのひとつが「親の借金や保証は、そのまま自分に来るのか」です。国が定めている「経営者保証に関するガイドライン」には、事業承継のときのための特則があります。ここでは、独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営する J-Net21 の解説をもとに、確かめられた範囲をまとめます。
「経営者保証」とは
会社が金融機関から借り入れるとき、経営者個人が保証人になることを、経営者保証といいます。会社が返せなくなったとき、経営者個人が返す約束です。親がこの保証をしている場合、継ぐときに「保証をどうするか」が問題になります。
事業承継のときの特則
特則は、令和2年(2020年)4月から運用が始まりました。金融機関には、次のことが求められています。
- 原則として、前経営者と後継者の双方から保証をとらない(二重徴求をしない)
- 前経営者との保証契約を、適切に見直す
- 後継者に経営者保証を求めない対応ができないか、「真摯かつ柔軟に対応」する
どんな場合に例外として二重にとってよいか、前経営者の保証をどう見直すかの具体的な決まりは、今回確かめたページには書かれていませんでした(未確認)。実際の取り扱いは、借りている金融機関に聞きます。
後継者に保証を求めない対応のための3つの要件
J-Net21 は、保証を求めない対応のための要件を、次の3つとして説明しています。
- 法人と経営者の関係を、はっきり分けている:会社と経営者のお金のやりとりを、社会通念上、適切な範囲に収める体制を整え、「法人個人の一体性の解消に努める」こと
- 財務の基盤を強めて、信用力を高めている:事業承継計画や事業計画に、これからの財務を強める具体的な取り組みや目標を入れ、金融機関と認識を合わせること
- 財務の状況を正確に把握し、経営が透明である:決算書を含む確定申告書一式、試算表、資金繰り表などで、現経営者と後継者が同じ認識を持つこと
子どもの立場でできることは、この3つを現経営者(親)と一緒に点検することです。とくに次の3点を見ます。
- 会社のお金と家計・個人のお金が、混ざっていないか
- これからの財務を強める計画があるか
- 決算書や資金繰り表を、親子で共有できているか
相談先
各都道府県の「事業承継ネットワーク事務局」に、経営者保証コーディネーターが常駐していて、相談に応じます。コーディネーターは「事業承継時判断材料チェックシート」で3つの要件の満たし具合を確認し、これからの取り組みを助言します。
事業承継全体の相談は、事業承継・引継ぎ支援センターでも受けられます。親に切り出す順番は、親子で「店のこれから」を話すときにまとめています。
注意
- 保証をなくせるかどうかは、借りている金融機関ごとの判断です。この記事は、金融機関に何が求められているかをまとめたもので、保証がなくなることを約束するものではありません
- 参照した J-Net21 のページの最終更新は 2021年3月29日です。ガイドラインやその運用が見直されている可能性があるので、相談の前に最新の資料を確かめてください(今回、金融庁などの資料の原文までは読めていません)
よく聞かれること
- 親が保証人になっている会社を継ぐと、自分も必ず保証人になりますか?
- 必ずではありません。特則は、金融機関に、原則として前経営者と後継者の両方から保証をとらないこと、後継者に保証を求めない対応ができないかを「真摯かつ柔軟に」考えることを求めています。ただし、結果は金融機関ごとに違います。
- 誰に相談すればいいですか?
- 各都道府県の事業承継ネットワーク事務局にいる経営者保証コーディネーターです。まず借りている金融機関に、事業承継の予定を伝えて聞く方法もあります。
- 保証を求められないために、何から始めればいいですか?
- 会社と個人のお金を分ける、決算書や資金繰り表を親子で共有する、この先の財務を強める計画を作る、の3つです。
出典
確認日は 2026-11-03 です。