先に結論から
- 仲介者は、譲る側・譲り受ける側の両方と契約して双方に助言する。FA は片方とだけ契約し、その片方に助言する。仲介者は両方から手数料を受け取ることがあり、そのことは契約の前に説明される
- 仲介者には、両方に中立・公平であることが求められる。譲り受ける側から追加の手数料をもらって便宜を図ることなどは、契約書で「しない」と定めるとされている
- 契約書の専任条項・直接交渉の制限・テール条項は、あとで効いてくる。登録制度の資料では、専任の契約期間は最長でも6か月〜1年、テール期間は最長でも2〜3年が目安とされている
M&A の会社には、仲介と FA(ファイナンシャル・アドバイザー)の2つの立場があります。同じ会社が、案件によってどちらにもなることがあります。どちらで契約するのかを、最初に確かめてください。
違い
| 仲介者 | FA | |
|---|---|---|
| 誰と契約するか | 譲る側と譲り受ける側の両方 | どちらか片方だけ |
| 誰に助言するか | 両方 | 契約した片方だけ |
| 手数料を誰からもらうか | 両方からもらうことがある | 契約した片方から(相手の FA から受け取る場合は、その説明がある) |
| 求められること | 両方に中立・公平であること | 契約した側の利益のために動くこと |
登録制度の参考資料では、仲介会社・FA は、契約の前に仲介と FA の違いとそれぞれの特徴を説明し、仲介者として両方から手数料を受け取るなら、そのことも説明するとしています。
仲介で気をつけること:利益相反
仲介者は両方の側に立つので、譲る側が「高く売りたい」、譲り受ける側が「安く買いたい」と思うとき、利益がぶつかります。
登録制度の参考資料では、仲介者は、両者の利益がぶつかりそうな点を契約の前に説明し、途中で気づいたことも、そのつど伝えるとしています。そのうえで、少なくとも次のことをしないと、仲介契約書で定めるとしています。
- 譲り受ける側から追加で手数料をもらい、その側に便宜を図る(希望に反した相手を優先して紹介する、不当に安い値段に誘導するなど)
- 何度も依頼してくる客を優遇する
- 希望より高く(安く)まとまったとき、正規の手数料とは別に、差額の一部を報酬として求める
- 伝えてほしいと頼まれたことを相手に伝えない、または言っていないことを伝える
- 片方にだけ有利・不利な情報を知っていながら、隠す
また仲介者は、確定的な企業の評価やデュー・ディリジェンス(買う前の調査)を自分ではせず、必要に応じて士業などの専門家の意見を求めるよう伝える、とされています。
FA を使うという選び方:譲る側だけの立場で動いてほしいなら、FA と契約する方法があります。どちらが合うかは、事業承継・引継ぎ支援センターに相談できます。
契約書で確かめる3つの条項
仲介でも FA でも、契約書に次の条項が入ることがあります。登録制度の参考資料にある目安と一緒にまとめます。
| 条項 | 中身 | 参考資料にある目安 |
|---|---|---|
| 専任条項 | ほかの M&A の会社に頼まない、という約束 | 対象をなるべく絞る。合理的な理由がなければ、ほかの会社にセカンドオピニオンを聞くことを認める。契約期間は最長でも6か月〜1年。いつでも途中で解約できることを書く |
| 直接交渉の制限 | 紹介された相手と、M&A の会社を通さずに交渉しない、という約束 | 制限するのは、その会社が紹介した相手だけ。M&A の目的の交渉だけ。契約が終わるまで |
| テール条項 | 契約が終わったあとでも、その会社が紹介した相手とまとまったら手数料を払う、という約束 | テール期間は最長でも2〜3年。対象は、会社名を明かして紹介された相手だけ |
ほかにも、手数料、秘密保持、契約期間と解除、責任の範囲、(譲る側には)譲り受ける側をどう調べるか、などが、契約の前に書面で説明される項目に挙がっています。
子どもとして聞けること
親が M&A の会社と話しているとき、子どもが横から聞けるのは、たとえば次のような質問です。
- 「この会社は仲介ですか、FA ですか。相手からも手数料をもらいますか」
- 「専任の期間は何か月ですか。途中でやめられますか」
- 「契約が終わったあと、何年間、手数料がかかりますか(テール期間)」
- 「ほかの人に意見を聞いてもいいですか」
答えを書面でもらえるかも、一緒に確かめてください。
よく聞かれること
- 仲介と FA、どちらがいいですか?
- 決まった答えはありません。仲介は両方の側に立つので、利益がぶつかる点があり、中立・公平であることが求められます。FA は契約した片方の側だけで動きます。違いと特徴は、契約の前に説明を受けられます。迷ったら、事業承継・引継ぎ支援センターに相談できます。
- 一度契約したら、ほかの会社に相談できませんか?
- 専任条項があっても、登録制度の参考資料では、合理的な理由がなければセカンドオピニオンを求めることを認めるとしています。事業承継・引継ぎ支援センターなどの公的な機関に相談先を限ることもあります。契約の前に、条項の中身を確かめます。
出典
確認日:2026-11-01